21日、台北でインタビューに応じる台湾の顧立雄国防部長(共同)

 【台北共同】台湾の顧立雄国防部長(国防相)は、中国による台湾侵攻を防ぐため、日米、フィリピンと台湾で「集団的抑止力」を形成することが重要だと述べた。共同通信など一部海外メディアのインタビューに21日応じた。中国が軍事行動を激化させないよう、日本の南西諸島と台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」でけん制する。日本とは安全保障分野の情報共有や海上保安当局同士の協力を進める意向を示した。

 顧氏が海外メディアのインタビューを受けたのは昨年5月の就任後、初めて。

 集団的抑止力は、密接な関係のある他国への攻撃があった場合に行使する「集団的自衛権」とは別の概念。攻撃を起こさせないことに重点がある。顧氏は、集団的抑止力が高まれば中国にとって台湾侵攻のシナリオは複雑になり軍事的な代価もかさむことになると主張。「抑止によって戦争を回避したい」と述べた。

 中国の軍事活動が「領海や領空に近づいている」とも指摘。武力行使に至らない「グレーゾーン」のかく乱が「低強度」から「中強度」にエスカレートしているとの見方を示した。