少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。今回は創立100年を超える伝統校、多治見高校(多治見市)。難関大にも合格者を出す進学校ですが、増田智至校長(60)は「本校は勉強だけでない、いろんな学びがある場所」だと言います。特徴は「探究」。生徒が自分の夢を見つけることを最大限に支援するといいます。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

多治見高校=多治見市坂上町
 多治見高校 所在地は多治見市坂上町。1923年創立の県立単位制普通科高校。1学年の定員は200人。硬式野球部は2017年、第89回選抜高校野球大会に21世紀枠で出場した。

 ―多治見高校の特徴は。

 本校は地元色が強い。生徒の6割が多治見市で、3割弱が土岐市だ。創立100年を超えており、祖父母、父母と生徒と3代にわたるケースもある。地域に根差し、愛されている。生徒は真面目で一生懸命。いい生徒たちばかりだ。

 ただ、地元の色が強いので、キャリアデザインを描くときに視野が狭くなる傾向がある。もともと地元志向の生徒が多いこともあるが、今のグローバル化の中で視野を広げていく点が少し弱い。生徒や保護者の多くも家から通える大学を志望する。それはそれでいいのだが、広い目線に立ってキャリアデザインを描けるようにしている。

 ある生徒も当初は家から通える範囲の私立大で、という希望だったが、視野を広げてみてごらん、と教員が働きかけるなどして今春、筑波大学に進学した。

 本校の生徒はもともと地元志向が強い分だけ、いったん大学進学で外に出ても帰ってきてくれるのではないか、と思う。外で成長し、帰ってきて地域にとって有益な人材になってくれると期待している。

 
 ますだ・さとし 大垣市出身。教科は理科(生物)。県教委教職員課課長補佐、華陽フロンティア校長などを経て2022年から現職。

 ―進学実績は。

 国公立大学の合格者の割合でみると、一時期15%前後だったが、盛り返してきている。目標としては、4人に1人は国公立大学に行くことを一つの目安にしよう、そのうち5人ぐらいはいわゆる難関大学、旧帝大などに行けるレベルを、と先生方には話している。今は20%ぐらいなので、もう少し上げたい。ただ、名古屋大とか筑波大、東北大などには合格している。

 令和6年度は国公立大学に28人合格、卒業生に対する合格者割合は...