千葉県の建設会社の専務取締役だった男性=当時(66)=が2017年に急性心筋梗塞で亡くなり、東金労働基準監督署(同県東金市)が労災と認めていたことが11日、遺族の代理人弁護士への取材で分かった。取締役は一般的に労働者を雇う使用者とされ、労働関係法の保護対象にならないが、実態を調べ、実質的に労働者だったと異例の判断が下された。

 代理人の立野嘉英弁護士によると、男性は従業員約40人の会社の専務で、17年5月に亡くなった。労基署の調査では、週休1日で主に現場監督として働き、直近2〜6カ月の残業は月平均100時間を超え、「過労死ライン」とされる80時間を上回っていた。工事の受注や人員配置を決める「業務執行権」が代表取締役にはあったが専務にはなく、男性は実質的に労働者だったとして、18年9月に労災認定された。

 認定に際しては同僚らの証言や、男性が自主的に記録していた出勤簿が重要な役割を果たしたという。遺族はこの認定を基に会社や代表取締役に賠償を求めて千葉地裁佐倉支部に提訴し、昨年8月に和解した。