警視庁と東京地検から上告断念の連絡を受けた後、記者会見する大川原化工機の大川原正明社長。手前は島田順司元取締役=11日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
 大川原化工機の本社

 機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の社長らが外為法違反罪で逮捕・起訴された冤罪事件を巡る訴訟で、警視庁(東京都)と東京地検(国)は11日、捜査・起訴を違法と認定した東京高裁判決に対し、上告しないと表明した。判決を精査し、覆すことは困難と判断した。都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた判決が確定した。11日が上告期限。

 警視庁と地検は再発防止に向け経緯を検証する方針を明らかにした。警視庁は副総監をトップとする検証チームを設置、検察では次長検事を責任者として最高検が検証に当たる。また大川原正明社長(76)らへ「ご負担をおかけした」とするおわびのコメントもそれぞれ発表し、早期に直接謝罪する意向を示した。

 記者会見した会社側代理人の高田剛弁護士は「謝罪の言葉が初めて出たことは意義が大きい」とした上で、検証について「有効かつ公正なものにするためには第三者性の確保が重要だ」と述べた。