昨年11月、陸上自衛隊朝霞駐屯地や隣接する訓練場で行われた自衛隊発足70年記念の観閲式に出席した石破首相
 2024年2月、防衛省で開かれた防衛力の抜本的強化に関する有識者会議の初会合

 防衛省が設置した防衛力の抜本的強化に関する有識者会議(座長・榊原定征元経団連会長)の報告書原案が判明した。防衛費を国内総生産(GDP)比2%とする政府目標に関し「達成後のさらなる防衛力強化について訴えていくことをちゅうちょすべきではない」として2%超への検討を提言。抑止力強化に向け、長射程ミサイル発射装置搭載の潜水艦導入の重要性を指摘し、原子力潜水艦配備も含めて議論すべきだと明記した。複数の関係者が15日、明らかにした。

 政府は近く報告書の提出を受け、政策への反映を検討する。ただ、防衛費増は財源確保が課題となり、原潜配備も原子力の平和利用との整合性が問われそうだ。

 2022年策定の国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の安保関連3文書は23〜27年度の5年間で計約43兆円の防衛費を投じ、27年度に関連経費と合わせてGDP比2%との目標を掲げる。有識者報告書は国際情勢の悪化を踏まえ「2%目標を前倒しで達成できるよう取り組み、次期の防衛戦略、整備計画の前倒し策定も検討必要」と求めた。