農学博士の学位を取得した岐阜県警科学捜査研究所の森幾啓主任研究員=県警本部

 岐阜県警科学捜査研究所(科捜研)の森幾啓(ちかひろ)主任研究員(35)が獣毛や血痕などから動物の種類を識別する鑑定法の研究で、農学博士の学位を取得した。20人の研究員が所属する科捜研で10人目の博士号取得者で、警視庁に次いで全国2番目の多さとなった。森主任研究員は「やっと一人前になれた。ここからが第一歩」と喜びを語った。

 研究では、細胞の中にあるミトコンドリアDNAを構成する塩基配列の長さが動物ごとに異なる点に着目し、イヌやネコ、タヌキなど約30種類の動物種を割り出す鑑定法を確立した。

 岐阜県警科捜研ではこれまで、血痕にヒトなど複数の動物の血が混ざっていた場合、鑑定が困難だったが、森主任研究員の鑑定法により可能となった。鑑定できる動物の種類も3倍ほどに増え、数日かかっていた鑑定時間は1日以内でできるようになったという。犯行現場に残された獣毛や血痕、骨などを調べることで、捜査対象者の生活状況を迅速に知る手がかりにするといった応用が期待されている。

 森主任研究員は、岐阜大学応用生物科学部を卒業し「自分の研究で直接社会に貢献したい」という思いから県警を志望、2010年に研究員として採用された。DNA型鑑定などを行う科捜研法医係として勤務しながら、16年に岐阜大学大学院連合農学研究科博士課程に入学し、論文をまとめた。「始業前や業務後に論文を執筆するなど、時間の捻出に苦労した。今後も県民の安心、安全につながる研究を続けたい」と意気込んだ。