岐阜県内でサイバー犯罪関連の相談が増えている。県警サイバー犯罪対策課によると、県警に寄せられた2020年の相談件数は、前年比470件増の1619件。21年の数字は公表前だが、増加傾向にあるという。2月28日には、サイバー攻撃によるシステム障害でトヨタ自動車の国内全工場が稼働停止したばかり。企業はさらなる情報管理の徹底やサイバー攻撃対策を講じる必要があり、県内IT企業の担当者は「自社のみならず、利害関係者の情報を守るためにも対策を万全にすることが必要だ」と訴える。

 同課の取りまとめた20年の相談のうち、不正アクセス・コンピューターウイルスに関するものは268件で、前年から60件増えた。感染力の強い「エモテット」や、身代金要求型の「ランサムウエア」と呼ばれるコンピューターウイルスの被害も全国的な広がりをみせているという。

 エモテットは主にメールを感染経路とした不正プログラム。添付ファイルやURLを開くと感染し、情報を盗まれたり他のウイルスに感染したりする恐れがある。いったんは国際的な捜査で制圧されたが、昨年11月ごろから復活した。

 ランサムウエアは、企業が抱えるデータを暗号化し、復旧の見返りに金銭を要求する。警察庁のまとめでは、21年には146件のランサムウエアによる被害が全国で確認された。

 ネットワークセキュリティー商品を扱う県内企業は「自社は狙われないと思っている企業が少なくない」と警鐘を鳴らす。

 中部事務機(岐阜市都通)は、エモテットなどの拡大やテレワークの浸透に伴い、21年のセキュリティー関連商品の売り上げが前年比1・8倍に増加した。顧客企業のパソコンがウイルスに感染し、感染範囲を調べるような案件が増加傾向にあるという。鵜野克也取締役事業戦略室長は「費用をかけてでも会社の情報資産を守ってほしい」と強調し、「最低限、セキュリティー機能の一元管理を導入し、ウイルス対策ソフトを最新に保ってもらいたい」と訴える。

 電算システム(岐阜市日置江)の松井哲彦執行役員システムサービス事業部長は「大企業、中小企業問わず感染する可能性がある。まずは守るべき情報資産と自社セキュリティーのぜい弱性を把握することが重要だ」と指摘する。身に覚えのないメールのファイルやURLに不用意にアクセスしないことや、インターネットから切り離したパソコンで情報を保存するといった対策を呼び掛ける。

 4月には改正個人情報保護法が全面施行され、情報漏えい時の報告・通知の義務化や、最大50万円以下の罰金額が1億円以下に引き上げられるなど、個人情報の取り扱いが厳格化する。松井事業部長は「法改正の周知が進んでいない。自治体や他団体と連携して有効な啓発方法を考えなければいけない状況だ」と、別の課題も指摘する。