出産時に医師のミスが重なり、転院先の病院も処置を誤ったため脳性まひになったとして、岡山県玉野市の男児(11)と両親が、倉敷成人病センター(同県倉敷市)と大原記念倉敷中央医療機構(同市)に計約1億9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁(大嶺崇裁判長)は26日「病院側の注意義務違反は認められない」として請求を棄却した。

 原告側は、14年2月に同センターで生まれた男児について、産科で帝王切開の判断が遅れたため正常な呼吸ができず、小児科医が気管にチューブを挿入する位置を誤ったため、肺から空気が漏れる気胸になったと主張。さらに同機構が運営する倉敷中央病院の新生児集中治療室(NICU)に転院後も適切な治療を受けられなかったと訴えた。

 大嶺裁判長は、出産前日に母子の異常を示す兆候がなかったため、センター側は帝王切開を速やかに実施する注意義務を負っていなかったと指摘。また男児が自然に気胸になった可能性があり、小児科医の処置との因果関係は認められず、転院後の処置も不適切だったとはいえないと判断した。