少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。今回は、岐阜県内でいち早く単位制総合学科となった土岐紅陵高校(土岐市)の木澤朗校長(58)です。生徒たちは多種多様な科目から自分に合った学びを選び取り、経験を積む中で可能性を見出し、生きる道を明確にしていきます。教育体系の特長は系列の「つながりの柔軟性」だといいます。どんなシステムなのでしょうか。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

校名にちなんだ紅色の塗装が目を引く土岐紅陵高校の校舎=土岐市下石町
 土岐紅陵高校 所在地は土岐市下石町。1997(平成9)年に現在の校名に改称し、県内初の単位制総合学科となった。1学年の定員は90人。

 総合学科 普通科と専門学科(工業科、商業科など)に並ぶ第三の学科として、1994年から導入された。必修科目のほか幅広い選択科目があり、自由に選んで時間割を作成できる。原則、必要な単位を履修すると卒業できる単位制。岐阜県では97年に土岐紅陵を含む4校が総合学科を設置し、2025年現在では7校となっている。

 ―どのような学校か。

 岐阜県で最初に総合学科となり、29年目になる。キャリア教育を重視しており、進学向けから就職向けまでさまざまな学びを用意している。年次が上がるにつれて授業選択の幅が広がり、3年次には7割が選択授業となる。自分の志向や進路に合わせたカリキュラムで学びを深められる。

 キャッチコピーは「私をつくる3年間」。中学を卒業したばかりの生徒たちは、まだ自分がどんな人間かも分からない状態がほとんど。本校での経験を通して、まずは自分のことを理解し、その上で将来どう生きていくのか、社会とどう関わっていくのかを考えていく。

 多様な生徒が集まっているが、自ら選び、「好き」を伸ばしながら可能性を探っていくため、個々の考え方や志望と学校生活とのミスマッチは起きにくい。学校が好きで、楽しく通ってくれていることは、欠席率の低さにも表れている。

 
 きざわ・あきら 美濃加茂市出身。教科は数学。岐山、土岐紅陵の教頭を経て、2025年度から現職。趣味はそばの食べ歩き、温泉、ウオーキングを兼ねて、各地を巡ること。

 ―教育体系を詳しく。

 科目は四つの系列に色分けされており、2年次で自分の学びたい系列を選ぶ。「食と福祉」「情報・ビジネス」「美術・工芸」の専門3系列と、系列の枠を越えた科目選択の自由度が高い「総合型」系列。専門科目は非常にユニークで、この地域ならではの陶芸、...