デジタルで再現したイカのくちばしの化石(研究チーム提供)
 デジタルで立体的に再現した岩石。上半分は砂を取り除いた状態で、内部に含まれる多くの化石が見える(研究チーム提供)

 1億〜7000万年ほど前の白亜紀後期の海はアンモナイトや魚が主役だと考えられてきたが、実は「イカだらけ」だったとする研究結果を、北海道大の伊庭靖弘准教授(進化古生物学)らのチームが26日付で科学誌サイエンスに発表した。殻や骨を持たないイカは化石として見つかりにくく、これまで白亜紀の海のイメージには登場していなかった。

 チームは、岩石を100分の1ミリという薄さで削りながら撮影を繰り返し、内部の化石を小さなものまで全てデジタルで立体的に再現する技術を開発。北海道各地にある白亜紀の岩石から、イカの「くちばし」という硬い組織の化石を263個特定した。大きさは平均で約4ミリだった。

 見つかったくちばしの形からイカは40種に分類でき、現生のイカに近いものもあった。年代の異なる岩石の観察から、イカは1億年前ごろ現れ、600万年ほどの間に急速に多様化したと推定された。個体数は、繁栄を誇ったアンモナイトを上回るほどいたらしい。