日本老年医学会立場表明のポイント

 日本老年医学会は27日、人生の最終段階における医療やケアの基本的な見解をまとめた「立場表明」を改定したと発表した。改定は2012年以来となる。75歳以上の人が2千万人を超える中「全ての人は最期まで『最善の医療およびケア』を受ける権利を有する」と主張。病気や障害を問わず「緩和ケアを一層推進する」とし、医療やケアの選択は「本人の満足」を基準にすべきだと訴えた。

 立場表明はまず「年齢による差別(エイジズム)に反対する」と宣言。その上で、本人の人権と尊厳を尊重し、生活の質の維持・向上を目指す緩和ケアの推進を掲げた。がん以外の心疾患や腎不全などでも緩和ケアの重要性の認識が一層増していると指摘。認知症の患者は苦痛を訴えるのが難しく、啓発が特に必要だとした。

 また本人の尊厳を損なったり、苦痛が増大したりする場合は、医療行為の差し控えや終了も選択肢にすべきだと明記した。本人の最善を目指し、差し控えたり終了したりすることは、安楽死や自殺ほう助ではないと強調した。