少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。今回は可児工業高校(可児市)の加藤昌宏校長(56)です。企業が人材難にあえぐ今、製造業が集積する可児・加茂地区唯一の工業高校には、およそ30倍の求人が寄せられています。基礎技能はもちろん、先端技術も積極的に取り入れ、日々革新する企業社会で活躍できる人材を育成しています。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

可児工業高校=可児市中恵土
 可児工業高校 所在地は可児市中恵土。1962年創立。県立全日制工業高校。1学年の定員は機械工学科60人、電気工学科35人、化学技術工学科30人、建設工学科群35人の計160人。

 ー特色は。

 地域唯一の工業高校であり、創立63年、これまでに約1万2千人の卒業生を送り出してきた。日本は工業立国であり、中でもこの地域は製造業が盛ん。地域の工業を担える生徒を育てることに重きを置いている。

 卒業後、すぐに社会に出る生徒も多い。ただ知識や技術を身に付けるだけではなく、豊かな人間性を備えた技術者を育てることを教育目標にしている。基本的なことでいえば、あいさつや時間厳守の意識、人間関係など。学校生活を通じて、社会に求められる人間性を培うことを大切にしている。

 ー学科構成、カリキュラムは。

 機械工学、電気工学、化学技術工学の3学科と建設工学科群があり、建設工学科群は2年生から建築工学科と土木工学科に分かれる。

 授業は学年が上がるにつれて実習が多くなり、3年生では授業の半分が実験実習を伴う工業科目となる。その中にはいわゆる探究的な学習として、課題研究も含まれる。

 以前の課題研究は「〇〇を作る」ことが課題だった。それが今は「なぜ〇〇を作りたいのか」というところからスタートする。身の回りで不便な点を見つけ出し、それを課題として設定する。近隣の施設や幼稚園と連携し、地域の中から課題を探し出すということも行っている。

 もちろん、机に向かっての学習も大切。ただ、工業高校にはそれが苦手な生徒も少なくない。対策として、本校では毎朝10分の「チャレンジタイム」を設けている。問題集や資格試験のための勉強に取り組むのだが、一日の始まりにその時間があることで、気持ちを落ち着け、学習に向かう姿勢を整える効果が出ている。

 
 かとう・まさひろ 岐阜市出身。岐阜総合学園高校と可児工業高校で教頭、県教育委員会ICT教育推進室長、中津川工業高校校長を経て、2025年度から現職。

 ー特に力を注ぐのは。

 専門高校はどこもそうだが、...