最盛期には約4万人の工員を擁した国内有数の兵器供給拠点で、長崎に投下された原爆の第1目標となった「小倉陸軍造兵廠」の歴史をたどる企画展が「北九州市平和のまちミュージアム」で開かれている。小倉徳彦学芸員は「戦前の社会と軍の関わりを知り、平和について考えるきっかけにしてほしい」と話す。7月13日まで。
関東大震災で陸軍造兵廠東京工廠が壊滅的な被害を受け、1933年、小倉に開設された。企画展では市の所蔵資料などから、多くの人が移り住みデパートや住宅地ができる様子がうかがえ、小倉さんは「造兵廠と街の発展は切っても切れない関係だった」と指摘する。
軍需拠点として繁栄する一方、太平洋戦争末期で戦況が悪化すると、学徒動員、工場の疎開も行われた。空襲に備え工員が身に着けたとみられるヘルメットも展示されている。