救急車による搬送人数の推移

 24時間のシフト制が多い消防の現場で、日中のみ稼働する「日勤救急隊」の導入が広がっている。出動件数の多い日中の人員を手厚くして、増加が続く搬送要請に対応する。子育てなどで夜間の勤務が難しい人や、再任用職員も働きやすい体制にすることで、人手不足を補う狙いもある。

 総務省消防庁によると、2024年8月時点で全国720消防本部のうち、95本部が導入した。背景には、高齢化による救急搬送の増加がある。23年の全国の救急車による搬送人数は約664万人で、集計開始以来、過去最多を更新。現場への到着時間は、平均約10分と、10年前より約1・5分延びた。

 搬送の6割近くは、午前8時から午後6時までの10時間に集中している。消防庁は今年6月、日勤救急隊の導入を検討するよう各都道府県の消防部局宛てに通知を発出。導入を後押しする好事例を紹介した。

 名古屋市消防局では23年から、24時間シフトの46隊に加えて日勤の2隊を運用開始。

 高松市消防局では昨年から、出動の約1割を占めた転院搬送に限定して日勤を運用している。