プロ野球全球団が着目する岐阜県ナンバーワン右腕の帝京大可児・富田櫂成。最速147キロのストレートも魅力だが、高く評価されるのは、豊富な球種を巧みに操れる完成度の高さだ。田口聖記監督の下、毎年のように好投手を輩出し、甲子園まであと一歩と迫っている帝京大可児。今チームも昨年秋春の地区、県すべて1点差で敗れているが、エースが絶対的安定度を手にしただけに、勝負どころでの得点力が悲願達成のカギを握る。東海でも有数の右腕に挙げられるエースはきっぱり言い切る。「自分が零点に抑えれば負けることはない」。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

 第107回全国高校野球選手権岐阜大会は7月5日、ぎふしん長良川球場で開幕する。近年にない激戦の〝戦国岐阜〟を制するのはどこか。高校野球取材歴38年目の夏を迎える記者が、他の追随を許さない圧倒的で綿密な取材と、独自視点で、それぞれのキーワードを軸に有力各校を読み解く。

 ◆1年から注目素材の富田 完成度の高い絶対的エースに成長

 6月8日、帝京大可児高グラウンドのけやきフィールドには、大リーグのパドレス含めプロ野球7球団のスカウトがバックネット裏に陣取った。練習試合の相手校・誉(愛知)のブラジル国籍の194センチ大型右腕モレチ・アレシャンドレとの投げ合いということもあり、各スカウトはスピードガンを片手にマウンドに熱い視線を送った。

 富田は球速こそ140キロ前半だったものの、7回を投げ、8奪三振。被安打は散発の4だが、うち2本は内野安打。二回に二塁、七回に三塁を一度ずつ踏ませただけの安定ぶり。マウンドのエースには終始、余裕に満ちあふれていた。

プロ全球団が注目する県内ナンバーワン、東海でも有数の右腕である帝京大可児のエース富田櫂成=けやきフィールド

 県岐阜商出身で土岐商で副部長などを務めた高校指導者出身スカウトの日本ハム熊崎誠也さんは「志望届を出せば、必ず指名される。ストレートだけでなく、...