IAEAの特別理事会に出席するグロッシ事務局長=23日、ウィーン(ロイター=共同)

 【ワシントン共同】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、米イスラエルの攻撃を受けたイラン核施設について「深刻な損傷を受けたのは確かだが、完全には損傷していない」と指摘した。核施設は完全に破壊され、核開発を数十年遅らせたとするトランプ米大統領の主張を否定した形。CBSテレビが28日、グロッシ氏のインタビュー内容を報じた。

 イランが数カ月かそれよりも早くウラン濃縮活動を再開できる可能性があるとの見方も示した。CNNテレビは28日、米軍がイラン核施設3カ所の攻撃で、中部イスファハンだけ大型の特殊貫通弾(バンカーバスター)を使用しなかったのは地下施設の位置が深すぎて効果が薄いと判断したためだったと報じた。

 グロッシ氏は、イランが持つ核開発の能力や知見をなくすことはできないと強調。遠心分離機を連ねたカスケードの再稼働や濃縮ウランの生産を再開できると分析した。

 CNNによると、米軍はイスファハンの核施設を巡航ミサイル「トマホーク」で攻撃した。