ロシアによるウクライナ侵攻後、欧州で核兵器の容認論が高まっているとの認識を、2017年にノーベル平和賞を受賞したICANに参加する欧州各国の団体が29日までに示した。ロシアへの恐怖の他、「核の傘」を提供する米トランプ政権に対する不信が市民感情に影響。核兵器廃絶に向けた活動の逆風となっており、関係者からは「核が守ってくれるとの“神話”を受け入れやすくなっている」と懸念の声も出た。
共同通信は7カ国のICAN本部や参加団体に今年3〜6月に取材した。
スウェーデンのICAN参加団体のヨセフィン・リンド氏は「ロシアが明確な脅威となり、こちらも核兵器を持つべきだとの抑止力の論理が浸透している」と話した。
長年中立国だったスウェーデンは昨年、米国の核抑止力を基軸とするNATOに加盟、外交政策を一変させた。「核の傘」への支持が政治家や市民の間で拡大したためだ。こうした考えは核廃絶運動を率いる団体の中にも広がっており、22年のウクライナ侵攻後、核兵器の必要性を感じて離脱したメンバーもいた。