長崎市の端島(通称・軍艦島)

 長崎市の端島(通称・軍艦島)など8県23施設で構成する世界遺産「明治日本の産業革命遺産」のうち、14施設(60%)で今後の保全に懸念があることが、共同通信のアンケートで1日分かった。懸念の詳しい内容を複数回答で尋ねると、修繕などの費用に対する予算不足が46%で最多。次いで専門人材の不足が挙がった。遺産登録から5日で10年。次世代に継承する難しさが浮き彫りになった。

 また観光に関する質問では、登録直後に観光客が増えた一方、現在は減少したとの回答が大半を占め、プラス効果が長続きしない実態も分かった。

 アンケートは6月に実施。23施設を管理する8県の11市と日本製鉄、三菱重工業から回答を得た。

 保全に「懸念がある」「どちらかといえば懸念がある」とした施設の合計は、端島や山口県萩市の「松下村塾」など14施設だった。懸念の理由(複数回答)は「保全するための予算が足りない」が最も多く、「携わる人材が足りない」35%、「有効な保全方法が見つからない」10%と続いた。