2024年1月19日、能登半島地震で多くの家屋が倒壊した石川県輪島市内を走行する救急車

 昨年元日の能登半島地震で心身に負荷がかかり亡くなった石川県の「災害関連死」認定者377人のうち、遠方への避難や病院搬送など「移動」が死亡の一因とされた人が少なくとも57人いることが1日、自治体の公表資料や取材で分かった。いずれも60代以上。ライフラインが途絶える過酷な状況から離れ、より良い環境で過ごしてもらうための措置だったが、損壊した悪路や長時間の乗車が深刻なダメージになったことがうかがえる。

 一方、石川県内で298人が関連死の審査待ちとなっていることも全19市町への取材で判明。地震発生から1日で1年半となったが、犠牲者数がさらに増える可能性がある。災害時の負荷を軽減するためインフラの耐震強化や地域の医療福祉体制の維持が求められる。

 各市町は関連死と認定した死者の年代や性別、死亡の経緯、死因について遺族の同意が得られた範囲で公表している。共同通信は377人のうち死亡の経緯が明らかになった175人に関し、県が昨年12月に発表した集計結果を参考に、各市町にも取材して分類した。