がん患者の経済的影響

 18〜39歳の若年がん患者の45%が、生活に何らかの経済的影響を受けたことが、国立がん研究センターが3日公表した実態調査で明らかになった。がん患者全体の24%と比べ高い割合。調査を担当した元センター医療政策部長の東尚弘東京大教授は「若年患者は困難や孤立感を感じている人が特に多く支援が必要だ」と指摘した。

 2021年にがんと診断された18歳以上の患者を対象に、23〜24年に調査票を送付。約1万1千人の回答を分析した。

 経済的な影響の内訳は「貯金を切り崩した」が全体では17%だったのに対し若年患者では29%だった。「食費や衣料費を削った」は全体7%に対し若年患者18%。「親戚や他人から金銭的援助を受けた」が若年患者では17%に上った。

 収入のある仕事をしていた若年患者のうち、休職や休業をしたのは64%、退職や廃業は19%だった。がんになったことで家族に負担や迷惑をかけていると感じる若年患者は80%に達し、全体の58%と比べて高かった。身体の苦痛や気持ちのつらさを感じる割合も高い傾向がみられた。