【ベルリン共同】移民や難民の流入抑制策を進めるドイツのメルツ首相が、2015年の欧州難民危機で受け入れに寛容な姿勢を示したメルケル元首相と舌戦を展開した。メルツ氏は、16年間首相に君臨したメルケル氏との政争に敗れ一度は政界引退に追い込まれた因縁があり、元政敵同士の対立再燃として注目を集めている。
「国境で難民申請の意思を示した者は、手続きの機会を与えられなければならない。場所は国境でも構わないが、手続きは必須だ」。メルケル氏は6月末公開の番組で、元難民と食卓を囲みながら訴えた。メルツ政権が5月、移民排斥を掲げ台頭する右派政党の支持層を取り込むため、難民申請者の入国を国境で拒否できる措置を導入したことを批判した。
対するメルツ氏は今月1日放送のテレビ番組で「過去10年で生じた幾つかの問題を解決しなければならない」と述べ、欧州難民危機におけるメルケル氏の対応が原因だと反論。「職を退いた者として発言すべきかどうかは自分で判断すべきだ」とメルケル氏の発言に強い不快感を示した。