日本を代表する民俗写真家の故芳賀日出男さんが1950年代に鹿児島県・奄美群島で撮影した写真のデータが、奄美大島の奄美市に寄贈された。同市では3日に贈呈式が行われ、長男日向さん(68)が約2万カット分のデータを手渡し「写真には約70年前の人々の暮らしや奄美の原風景がある。読み解き、資料として活用してほしい」と述べた。
日出男さんは55〜57年、地理や民俗など9学会でつくる九学会連合の調査団の一員として、53年に米軍政下から日本へ復帰した直後の奄美を訪れ、各地で撮影を行った。2022年、101歳で亡くなった。
日向さんは「当時の父は九学会のカメラマンに抜てきされ、うれしかったんだと思う。無我夢中で撮ったようだ。島に長く滞在し、信頼関係を築き、生活に入り込んだ写真を撮ることができた。写真の“里帰り”は、父も望んでいたと思う」とも語った。
データ化には、日本に関する情報を多言語で発信する公益財団法人「ニッポンドットコム」が協力した。