「観世音菩薩坐像」の3Dデータ(観音寺の前住職提供・共同)
 観世音菩薩坐像

 【ソウル共同】長崎県対馬市の観音寺が、韓国から5月に返還された県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」のレプリカ作製を3体まで韓国側に認める意向であることが5日分かった。関係者が明らかにした。

 像は2012年に観音寺から盗まれた。韓国側がレプリカ作製を要望。像の保全のため日本で計測した3Dデータを寺側が韓国側に6日提供し、使用条件を確認する。

 日本側はレプリカ3体について(1)浮石寺(2)地元の忠清南道歴史文化研究院(3)浮石寺を支援する民間財団―での所蔵を想定。浮石寺向けは金メッキを施すなどし、作られた当時の姿を再現するという。

 浮石寺は盗難事件後「もともとは倭寇の略奪品だ」として引き渡しを求めたが、23年に韓国最高裁で観音寺の所有権を認める判決が確定。返還に際し、浮石寺はレプリカ作製を念頭に3Dデータ化を求めた。

 3D計測は対馬市出身の男性が経営する大阪府の企業が無償で請け負い、観音寺にデータを提供。像は防犯上の理由から対馬市の博物館が保管中で、観音寺に置くレプリカ作製も検討されている。