護衛艦「あぶくま」(海上自衛隊ホームページより)

 政府が、フィリピンに海上自衛隊の中古護衛艦の輸出を検討していることが分かった。中谷元・防衛相とフィリピンのテオドロ国防相が6月にシンガポールで会談した際に協議した。東・南シナ海で威圧的行動を強める中国を念頭に置き、フィリピンの対処力を強化して自衛隊との連携を拡大する狙いがある。政府関係者が6日、明らかにした。

 殺傷能力が高い武器は防衛装備移転三原則に基づき輸出が制限されるが、共同開発・生産であれば移転できる。護衛艦は殺傷能力の高い武器に該当するものの、政府はフィリピンの要求に応じて中古護衛艦の仕様を変更する「共同開発」と位置付け、移転を実現したい考えだ。

 対象となる護衛艦は1989年以降に就役したあぶくま型。2022年に策定した防衛力整備計画では「就役から相当年数が経過し、拡張性等に限界がある艦艇」に関し早期に退役させる方針を明記。退役した装備を巡っては「同志国への移転を検討する」としている。今夏にはフィリピン海軍によるあぶくま型の視察も予定する。