【カービル共同】なぎ倒された木々に引っかかった寝具―。米南部テキサス州の中部で発生した洪水は死者が100人を超えた。被害が集中した同州カー郡では7日、氾濫したグアダルペ川のほとりにある建物に分厚い泥がたまり、異臭が漂っていた。美しかった川は猛威を振るって茶色く濁り、地元民はぼうぜんとしていた。
「とにかく恐ろしかった」。カー郡カービルの建設業ホセ・グティエレスさんが川が氾濫した4日の様子を振り返った。
集中豪雨で水位はわずか45分で8メートル上昇したとされる。勤務先を見に行くと、水は土手の中腹にある建物の天井にまで達しており「見たことがない高さだった」。川の中州だったとみられる場所に立つ巨木は傾き、10m弱の高さにベッドのマットレスが引っかかっていた。異常な水量を物語っていた。
川のほとりにある住宅の前には家具が散乱し、中も泥まみれだった。川の水の色はかつて青みがかり、多くの訪問者が美しい景観を楽しみに訪れていた。グティエレスさんは「川が元に戻る日は来ないかもしれない」と肩を落とした。