コメの生産量が前年実績から56万トン増えれば、現在の品不足の状態から需給バランスが回復し、店頭価格の引き下げが期待できる。ただ近年は猛暑や害虫の発生が相次いでおり、出来具合に影響すれば2023年産米のように流通量が減りかねない。生産コストも上昇しており、コシヒカリなどの銘柄米は新米が出回る時期になっても高止まりが続く懸念がある。

 23年産では猛暑でコメが白く濁るといった高温障害が発生し、在庫が減った。24年産でも高温障害やカメムシの被害が見られた。産地では高温耐性品種への切り替えなどの対策が進んでいる。

 作付面積が拡大する中でも、全国各地の農業協同組合(JA)は今年、コメ農家に対し前年を上回る価格水準を提示し、販売を請け負う方針を示している。資材などの値段が上がっているほか、他の業者との集荷競争も激化しているためだ。このため店頭価格は高くならざるを得ないとの分析もある。

 農林水産省はコメ価格を下げるため政府備蓄米を大量放出しているが、銘柄米への影響は限定的だ。