「危ないから気をつけないとダメだぞ、と声をかけたばかりだったのに」。北海道福島町の住宅地で12日未明、新聞配達中にヒグマに襲われ亡くなった佐藤研樹さん(52)は前日、自宅車庫でヒグマに遭遇したことを同僚に話していた。同僚男性は最後に交わした会話を思い出して悔しさをにじませつつ「ヒグマはまた必ず戻ってくる」と語った。
佐藤さんがコンブ漁最盛期の6〜7月にアルバイトで漁の手伝いを始めたのは数年前。同僚である漁師の男性は「いつも真面目に、一生懸命仕事をしていた」と言う。新聞配達を終えた後、コンブを船から車に運ぶ作業などをしていたという。
12日午前3時半ごろ、いつものように仕事場に行くと、佐藤さんの姿がなかった。「珍しく寝坊したのかな」と思ったが、携帯電話はつながらない。すぐに「ヒグマが人を襲ったらしい」と聞いて現場に駆けつけたが、被害者は既にやぶの中に引きずり込まれた後だった。襲われたのは佐藤さんで、その場で死亡が確認された。