かわいいパフェや映えるケーキにセイ・グッバイ。インスタ映え? それはもう若い子に任せておこう。おじさんには、おじさんの食べたいものがある。「俺たちの岐阜メシ」は、岐阜市在住の食通・山本慎一郎さん(山本佐太郎商店社長)が、年間300日以上の外食生活で出会った“リアル岐阜メシ”を語る連載企画です。初回は「ジャマチヨのオリーブ丼」。「岐阜の深夜のご飯として最高!」(山本さん)。(原則月1回掲載。岐阜新聞デジタル独自記事です)
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◆23時以降の岐阜のソウルフード
日比野克彦さん(岐阜県美術館長、東京芸大学長)から着信が鳴った。電話の向こうには食いしん坊ばんざい辰巳琢郎さんもいた。文化戦略会議エンジン01 in 岐阜以降、親しくさせてもらっている。
「23時以降の岐阜のソウルフードが食べたいのだけど」。
急な無茶振りはいつものことである。頭に浮かぶのはバーかラーメンか。
お連れしたのはジャマチヨ。数々の食通を唸らせて来た深夜のミュージックカフェ。店主のマチヨさんには20代の頃より可愛がってもらっている。
レッドルーム。店内は赤色の照明とキャンドルの灯り。壁面を埋め尽くすアナログレコード。かつてピアノがあった場所にはドラムセットが置かれている。

食べていただきたいのはオリーブ丼。丼に山盛りのサラダ仕立てである。
オリーブにレタス、セロリ、サーモン、アボガド、刻み海苔、底に少しのごはん。醤油とオリーブオイルを絡めてわさびを好みで加減していただく。赤い空間でいただけばサラダとともにマグロを味わっているような錯覚。野菜だからと自分を甘やかす。罪悪感が少ないのもよい。
同席いただいた角川の夏野さん、石田純一さんにも、岐阜の深夜のソウルフード認定をいただいた。もっと広く周知すべし、他店でも提供すべしと。

翌日に講演を控えていたにも関わらず、拍車のかかった面々は、チーズのパリパリ、オイルガーリックスパゲッティと続く。
旅先で羽目を外させてしまう魔性である。
▶営業時間 午後6時半~、月曜日定休

やまもと・しんいちろう 1975年生まれ。岐阜市で1876(明治9)年創業の老舗油屋「山本佐太郎商店」4代目。油のプロ。南山大学経営学部を卒業後、23歳で家業を継ぐ。業務用卸問屋としてさまざまな油や粉、調味料を取り扱い、現在では東海エリアを中心に約500店舗と取引を行う。庶民派から高級店まであらゆるジャンルの飲食店を巡り年間300日は外食。岐阜グルメに詳しく、トークイベントなどでも活躍する。岐阜市旧中心市街地の通称「岐阜町」で空き家再生などに取り組む不動産業「岐阜まち家守(やもり)」社長も務める。