厚生年金に入る要件を満たしながら、国民年金にしか加入していない人が2023年時点で約97万人に上ることが、厚生労働省の推計で分かった。背景には雇用する事業者が保険料の負担を逃れようとしていることがあり、加入から漏れていると老後の年金額は本来よりも少なくなる。厚労省などは対策を進め9年で半減したものの、依然として加入していない人が多い現状が明らかになった。
厚労省が23年の国民年金加入者に対する調査結果から推計した。
厚生年金は現在、全ての法人事業所と従業員5人以上の個人事業所(一部業種を除く)に加入義務がある。将来の年金受給額を手厚くするため、政府はパートら短時間労働者の加入対象を拡大しており、今年6月成立の年金制度改革法では、企業規模要件(従業員数51人以上)と年収要件(106万円以上)の撤廃が決まった。
保険料率は18・3%で労使が折半する。事業者が保険料負担を嫌がり、手続きせずに適用逃れするケースが後を絶たないとみられる。厚労省によると、25年3月末時点では約15万事業所が加入逃れの疑い。