殺人や傷害、性犯罪などの事件における加害者からの損害賠償

 犯罪の被害者側に損害賠償金が支払われない事例が後を絶たず、政府が損害回復や経済的支援の在り方を検討するため、北欧など海外の事例を調査する方針を固めたことが2日、政府関係者への取材で分かった。北欧の一部で国が損害賠償金を補償した上で加害者から回収する制度があり、政府は調査後に結果を公表し、日本での実現可能性を探るとみられる。

 犯罪に遭った被害者や遺族が損害賠償を求め、裁判などで賠償命令が確定しても大半が支払われていない実態がある。

 日弁連が2018年に実施したアンケート結果によると、被害者が死亡や負傷した事件や性犯罪の計467事件のうち、約半数で賠償金が一切支払われなかった。死亡事件に限ると7割に上り、加害者に資力がなかったり所在が分からなかったりするケースが多数だった。加害者が長期の受刑で賠償能力がなくなる事例や、資産隠しをする場合もある。

 被害者側が民事訴訟を起こすには弁護士費用や印紙代など数十万〜数百万円の費用がかかる。