株式会社プロフェッショナルバンク
転職経験者のキャリア満足度はやや高め。管理職比率はどう変わる?

株式会社プロフェッショナルバンク(所在地:東京都千代田区、代表取締役:呑田 好和)のHR研究所は、30代前半の平均年収が近しい500万円前後の各業界(参照:厚生労働省 賃金構造基本統計調査)で働く30歳~34歳の正社員を対象に「新卒3年未満の転職とキャリア形成への影響」に関する調査を行いました(有効回答数:954人)。

「入社したら、3年は我慢して働くべき」
このような価値観はいまだに根強く、多くの若手社員が早期の転職に対して迷いや葛藤を抱える場面が少なくありません。
しかし、近年は転職を前向きにとらえる動きが広がっており、特に転職市場が活発なIT・通信業界では、その傾向が顕著です。

30代前半の正社員であれば、現在のキャリアを振り返り、今後の進路を真剣に考えるタイミングとも言えるでしょう。この時期は、スキルや経験値も高まり、より良い環境や新たな挑戦を求めて転職を選択肢に入れる人が増えています。

では実際に、新卒で入社後3年未満に転職を経験した人たちは、どのような理由で職場を離れ、どのような変化を得ているのでしょうか。
一方で、転職をしていない同世代は、どのような価値を今の職場に見出しているのでしょうか。

そこで今回、30歳~34歳の正社員を対象に、「新卒3年未満で転職経験のある方」と「これまで転職経験のない方」を比較したキャリアの実態と意識を聞きました。

<調査概要>
「新卒3年未満の転職とキャリア形成への影響」に関する調査
■調査期間:2025年7月12日(土)~2025年7月15日(火)
■調査方法:PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
■調査人数:954人
■調査対象:調査回答時に30代前半の平均年収が500万円前後の業界で働く30歳~34歳の正社員
1.新卒で入社して3年未満で転職した経験のある方:505名
2.転職経験がない方:449名
*対象業界:IT・情報通信、製造、建設、教育・学習支援、不動産・物品賃貸、運輸・郵便
*1.転職回数:最大2回まで(新卒入社から3年までの間に1回、以降は0回もしくは1回の転職のみ)
■調査元:株式会社プロフェッショナルバンク(https://www.pro-bank.co.jp/


<調査結果サマリー>
・転職経験者と未経験者で30代前半の年収分布は変わらず、転職未経験層がわずかに高年収帯に分布する
・管理職比率は転職経験者で高く、転職がキャリア加速の一因となっている可能性を示唆
・現在のキャリア満足度は両層ともに高い水準だが、転職経験者の方がやや高め
・転職未経験者の転職に対するイメージは「不安・リスク」と「成長・好機」の二極に分かれる構造
・転職未経験層では「面倒」「リスク」が転職しない理由として上位を占める
・転職経験者の転職理由は「給与」「労働時間」「休日」といった待遇面への不満が多数
・転職経験者が転職後に得た成果として最も多かったのは「働きやすさの向上」、次いで「年収増加」
・転職未経験者は「生涯転職しない」が過半数、転職経験者は「2社経験」が理想


<調査結果 詳細>
■30代前半の年収分布に大きな差は見られず、ただ、転職未経験者の方がわずかに高年収帯に分布
まず、「現在の年収帯」について聞きました。

新卒入社から3年未満で転職経験がある方は『400万~500万円未満(24.3%)』と回答した方が最も多く、『300万~400万円未満(21.6%)』『500万~600万円未満(19.6%)』と続きました。

一方、転職経験がない方では、『400万~500万円未満(25.4%)』が最多で、『500万~600万円未満(21.6%)』『600万~700万円未満(14.9%)』と続きました。

両者ともに「400万~500万円未満」が最多となりました。
しかし、転職経験がある層では『300万~400万円未満』の割合が転職未経験層と比べて多い結果となり、一方で転職未経験者は『600万~700万円未満』の割合が転職経験層と比べて多いことが分かります。




■管理職比率は転職経験者が高めに分布、転職がキャリア加速の一因となっている可能性を示唆
「現在の役職」について尋ねたところ、転職経験がある方では、『一般社員(64.6%)』が最多で、『係長・主任クラス(22.6%)』『課長クラス(6.5%)』と続きました。

一方、転職経験がない方では『一般社員(70.2%)』が最も多く、『係長・主任クラス(24.9%)』『課長クラス(4.0%)』と続きました。

ともに『一般社員』が過半数を占めていますが、転職経験者の方が管理職比率はやや高いようです。
特に『部長クラス』『事業部長・本部長クラス』『経営者・役員クラス』のハイレイヤー割合については、転職未経験者は0.9%に留まるのに対し、転職経験者は6.3%と大きな差が見られました。
このような結果から、転職によって昇進機会を得る、あるいは即戦力として採用されるといった明らかな環境変化が影響していると考えます。
逆に、転職未経験者は社内での昇進ペースが比較的緩やかであり、年次や在籍期間を重ねて昇格するケースが多いと考えられます。




■現在のキャリア満足度、転職経験者は約7割が肯定的、転職未経験者は6割が肯定的
「現在のキャリアの満足度」について尋ねたところ、以下の回答結果になりました。

転職経験がある方は『やや満足している(54.3%)』が最多で過半数を超え、次いで『あまり満足していない(25.7%)』『大変満足している(12.9%)』『全く満足していない(7.1%)』と続きました。

一方で、転職経験がない方は『やや満足している(52.1%)』が最多でこちらも過半数超え、続いて『あまり満足していない(31.9%)』『大変満足している(8.7%)』『全く満足していない(7.3%)』という結果でした。

『大変満足している』と『やや満足している』を合わせた“キャリア満足度”を見ると、転職経験者の約7割、転職未経験者の6割が肯定的な評価を示しました。

転職を経験した層のほうがやや満足度が高い傾向にあることがうかがえます。
特に『大変満足している』の回答割合に差が見られ、転職によって自身の希望や強みをより活かせる環境へと移行できた結果と考えられます。



ここからは、“転職経験がない方”のみを対象として、《転職への意識》《転職しない理由》《将来の転職意欲》を調査しました。

■転職未経験者の転職に対する意識は「不安」と「希望」が交錯
“転職経験がない方”が「転職をどのように捉えているか」について調査したところ、最も多かったのは『不安やリスクがある(25.6%)』で、次いで『収入アップの可能性(17.8%)』『興味がない(14.0%)』となりました。

転職に対して最も多く挙がったのは、ネガティブな側面である「不安やリスク」でしたが、上位にはポジティブな捉え方も並んでおり、受け止め方が二極化していることがわかります。
自分の強みをより早く活かせる環境に移ることで、成長や昇進、年収のプロモーションを早めるための手段として将来的には転職を考えていると見受けられる層も存在しています。
また、『興味がない』という回答から、そもそも転職をキャリアの選択肢に入れていない層も、一定数存在することがわかりました。

■転職未経験者が転職しない理由は「面倒」と「現職満足」が拮抗、転職意欲がない層も半数近く
“転職経験がない方”の「転職をしたことがない理由」について調査したところ、最多は『転職活動が面倒に感じる(27.0%)』で、次いで『現職に満足している(24.7%)』『転職がリスクだと考えている(17.8%)』となりました。

『現職に満足している』という回答は約4人に1人にとどまり、「転職活動が面倒」「リスクがある」といった心理的・行動的ハードルが大きいことがわかります。
また、『家族や生活環境』といった外的要因も一定数存在し、転職を自分の意思だけで決められない層の存在も浮き彫りになりました。



また、“転職経験がない方”に「将来、転職をしてみたいと思いますか?」と尋ねたところ、約半数の方が『今はしたいと思わない(46.5%)』と回答しました。

この結果から、多くの人が現状の職場や仕事にある程度満足していることがうかがえます。
また、転職に対する不安やリスクを感じて慎重になっている可能性も考えられる一方で、約3割の方は転職に対して前向きな意識を持っており、キャリア意識の多様化がうかがえます。



ここからは、“転職経験がある方”のみを対象として、《転職した理由》《転職のキャリア影響》《転職を通じて得られたこと》を調査しました。

■転職経験者の転職理由は「給与」「労働時間」「休日・休暇」の待遇面に集中
“転職経験がある方”に「新卒で入社して3年未満で転職した理由」について尋ねたところ、最も多かったのは『給与が低い(39.6%)』で、次いで『労働時間が長い(27.9%)』『休日・休暇が少ない(25.7%)』『仕事内容が合わない(25.2%)』となりました。

転職理由の上位には待遇面と業務内容のミスマッチが集中しており、若手社員が職場に求める最低条件が満たされていないケースが多かったことがうかがえます。

また、仕事内容が合わない、将来に不安を感じたといった選択肢からは、自分の適性やキャリア展望との不一致に対する問題意識も読み取れました。




■転職経験者の「転職」における自己評価は約9割が「良かった」と肯定、「働きやすさ向上」と「年収増加」が転職のメリットで上位に
“転職経験がある方”に「転職したことについて今どう思うか」と尋ねたところ、『まあ良かった(54.8%)』が最多で過半数を超え、『とても良かった(33.5%)』『あまり良くなかった(9.1%)』『後悔している(2.6%)』と続きました。

『とても良かった』と『まあ良かった』のポジティブな意見を合わせると、約9割が転職したことを肯定的に評価していることが分かりました。

これは、転職という選択がネガティブな逃避ではなく、自身の適性や希望に合った環境へと能動的に移る選択であったことの表れでしょう。

さらに、“転職経験がある方”に「転職を通じて、結果的に得られたこと」について尋ねたところ、最も多かったのは『働きやすさの向上(39.2%)』で、次いで『年収の増加(33.1%)』『新しいスキルの習得(26.1%)』が挙がりました。

転職によって得られた成果として最も多く選ばれたのは『働きやすさの向上』であり、職場環境や勤務制度、対人関係などの総合的な改善が求められていることが示されました。
『年収の増加』や『新しいスキルの習得』も上位にあり、転職が条件改善やキャリア形成に実質的な効果をもたらしたことがうかがえます。



最後に、再び全対象者に《理想の転職回数》を調査しました。


■理想の転職回数、転職未経験者は「生涯転職しない」が過半数、転職経験者は「2社経験」が理想
全対象者に対して、「生涯を通しての経験社数(*転職回数)の理想」について尋ねたところ、以下の回答結果になりました。

新卒で入社して3年未満で転職した経験がある方では、『2社 *転職1回(38.2%)』が最多で、『3社 *転職2回(33.9%)』『1社 *転職しない(14.8%)』と続きました。
一方、転職経験がない方では、『1社 *転職しない(56.6%)』が最も多く、『2社 *転職1回(28.3%)』『3社 *転職2回(13.6%)』と続きました。

転職経験がない方は『1社(転職しない)』を理想とする割合が過半数となりました。前述の調査結果でもあった通り、転職活動への手間やストレス、転職への不安やリスクといったネガティブな要素と、現職への満足度の高さといったポジティブな要素の両側面から、転職意向が低い傾向がうかがえます。いざ転職するとなると、人生の重要な転機となるでしょう。

一方で、転職経験がある方の対象者は、2社経験(転職1回経験済み)と3社経験(転職2回経験済み)となるため、『2社 *転職1回』が最多で『3社 *転職2回』と続くことから、こちらも転職を繰り返すことは望んでいないことが分かります。

転職をキャリアアップの選択肢の1つとして前向きに捉えていることは前の質問から判明したことですが、実際に転職するとなると、非常に慎重に自身のキャリアと向き合っている30代前半のビジネスパーソンが多いという傾向がうかがえます。




<調査結果 まとめ>
今回の調査では、「新卒入社から3年未満で転職した経験のある方」と「転職経験のない方」を比較することで、転職に対する“異なる意識”と“共通するキャリア観”が見えてきました。

転職経験者は、キャリア満足度や管理職比率がやや高く、転職を通じて働きやすさや年収増加といった成果を得ていることが示されています。一方で、転職未経験者は現職への満足感や安定志向が強く、転職への心理的ハードルが高いことも浮き彫りになりました。

転職はキャリアアップの手段として一定の効果を持つ一方で、慎重な意思決定が求められる重要な選択肢であることがうかがえます。企業側としても、転職希望者のニーズを理解し、働きやすい環境やキャリア形成の支援を強化することで、優秀な人材の定着や採用に繋げることが求められるでしょう。


■株式会社プロフェッショナルバンクについて

2004年設立。「“働く人”を通じて豊かな未来を創造する」を理念とし、各業界専任のヘッドハンターを多数抱える国内大手のヘッドハンティング会社です。“転職顕在層”から採用に導く「人材紹介」と、“転職潜在層”を含む全労働人口のサーチから移籍を実現する「ヘッドハンティング」を展開しており、難易度の高い経営人材や技術職・専門職の即戦力人材に対して「中途採用の切り札」として支援することで、企業成長に貢献しています。


■HR研究所について

採用・組織開発をはじめとしたHR領域の社会的トピックに対して、市場調査とデータ分析による人材戦略・採用活動を主としたビジネス発信をするプロフェッショナルバンクのシンクタンクです。人材不足が加速する昨今において、各社が人的資本経営の重要性を理解し、日本企業のさらなる価値向上を目指すべく、経営の継続・成長に深い繋がりを有するHR情報を発信しています。



【会社概要】
■会社名 :株式会社プロフェッショナルバンク
■代表者 :呑田 好和
■設 立 :2004年8月
■資本金 :1億円
■所在地 :東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階


[経営者と技術・専門職のヘッドハンティング]
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[経営ブレーンの転職支援]
https://www.pro-bank.co.jp/jobchange/
[女性社外取締役・監査役紹介の紹介サービス]
https://www.pro-bank.co.jp/management/female-officer/
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