収穫したニンジンを手にする岩本菜々さん(中央)ら=7日、東京都八王子市

 空前の物価高に苦しむ高齢者や外国人を支えようと、労働問題や生活に関する相談に乗るNPO法人「POSSE」(東京)が、自らの手で育てた野菜を配布する取り組みを始めた。活動の中心を担うのは10〜20代の大学生や高校生のボランティア。POSSEの岩本菜々代表(26)は「野菜作りを通じて貧困に対抗し、弱者切り捨てや排外主義の風潮にも立ち向かいたい」と力を込める。

 POSSEは2006年創設で、岩本さんは20年に参加した。困窮者が生活保護を利用できるよう支援する活動などに携わってきたが、約2年前から物価上昇で状況は切迫。最低賃金で働く非正規労働者や生活保護を受ける人から「暮らしていけない」と悲痛な声が届き、「生死にかかわる貧困になってきている」と感じるようになった。

 自分たちの力で現状打破を―。野菜作りを始めたのはそんな覚悟からだ。今年3月から都内で畑を借り、6月に初めての収穫物を埼玉県で配布。入管施設から一時的に収容を解かれ「仮放免」で暮らす外国人にも届けた。