九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が新規制基準に適合するとの判断は火山リスクの検討が不十分だとして、住民らが原子力規制委員会による設置許可の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(松田典浩裁判長)は27日、2019年の一審福岡地裁判決に続き、請求を退けた。新規制基準下での設置許可の適法性に関する訴訟で初めての高裁判決。
同種訴訟で住民側が勝訴したのは、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を巡る20年の大阪地裁判決の1例のみ。27日判決の川内原発訴訟以外に、全国3高裁に4件が係属している。
争点となっている規制委の審査基準「火山影響評価ガイド」に関し、一審判決は相当の根拠、資料に基づき立証されたか疑いが残ると指摘しつつ、不合理ではないと結論付けた。
住民側は控訴審で、噴火の可能性を予測できることを前提にしている点などが不合理だと主張した。
国側は、ガイドが噴火時期や規模の予知を求めておらず、安全確保上、巨大噴火を想定しないことが社会通念上容認されていると反論していた。