「何もかも失った」と訴えるウクライナから日本へ逃げてきた女性(手前)と長女=29日午後、高山市役所
爆撃を受けて崩壊した女性が住んでいたマンション=2月、ウクライナ・ハリコフ(本人提供)

 ロシアによる侵攻でウクライナ東部ハリコフから岐阜県高山市に避難してきた女性(36)と長女(6)の親子2人が29日、市役所で報道陣の取材に応じた。女性は「何もかも失った。人生そのものがなくなった。ゼロだ」と、戦禍から着の身着のまま異国に逃れてきた苦しい胸の内を語った。

 2人は今月14日から女性の夫の実家がある高山市に身を寄せている。夫は昨年12月に一時帰国し、1月から静岡県で派遣社員として単身赴任している。

 女性によると、ロシア軍の爆撃で自宅マンションは崩壊し、隣人4人が犠牲になった。犠牲者の脚や手、頭が周辺に転がっていたという。姉が勤める小児病院をロシア軍が銃撃する様子も目の当たりにし「人のすることじゃない」と怒りをあらわにした。

 「町の景色は変わり果てて、未来が見えなくなった」と、2月27日に2人で避難を開始。5分で長女の縫いぐるみなど少ない荷物をかばんに詰め、上空をロケット弾が飛び交う中、隣国ポーランドを目指して車を走らせた。住む場所を探して転々としながら「2千キロぐらい」運転。3月6日に首都ワルシャワに入り、12日に日本に向けて避難した。

 高山市で生活し、約2週間たった。女性は「山がきれいで水もおいしい。静かで安全に暮らせる」と語るが、「全てを失い、夫と新しい生活を始めたいがお金がない。助けてほしい」と窮状を訴えた。

 ロシアへの思いを問われると「ロシアにいる親戚や友人は『ウクライナが悪い』と口々に言った。でも私は、ロシアが全部悪いと思う。早く戦争をやめるべき」と強調した。

 親子の避難を受けて、市役所内に事務局がある飛騨高山国際協会は29日、支援金の受け付けをスタートした。市本庁舎内に募金箱を設置したほか、口座振込でも対応する。