クマによる人的被害対策として、一定の条件を満たせば自治体判断で市街地での「緊急銃猟」を可能とする改正鳥獣保護管理法が1日、施行された。人の日常生活圏に現れ、危害を及ぼす恐れが大きいクマなどを「危険鳥獣」に指定し、市町村長が緊急的に捕獲者へ銃猟を委託できる。
クマの人的被害は2023年度が219人で過去最多だった。今年も4〜7月に55人に上り、23年度の同時期(56人)と同じペースとなっている。北海道福島町では7月、新聞配達員が襲われ死亡した。
これまでは住宅集合地域などで銃猟を原則禁止し、危険が迫ってから警察官が捕獲者に発砲を命じる仕組みだった。改正法によって迅速な対応が期待されるが、自治体の体制整備や安全確保、専門知識のある職員ら人材育成も課題だ。
改正法は(1)ヒグマやツキノワグマが住居や広場などに侵入またはその恐れがある(2)危害防止が緊急に必要(3)銃猟以外で的確かつ迅速な捕獲が困難(4)住民らに弾丸が当たる恐れがない―と市町村長が判断した場合、緊急銃猟を可能とした。