参院議員を辞職した石井章氏(68)の公設秘書給与詐欺事件で、公設秘書として勤務させるつもりがない人物から名義の借用を取り付け、国に届け出ていた疑いがあることが1日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は事務所関係者への聴取などから、勤務実態がなかったことの裏付けを進めている。
関係者によると、石井氏は名義を使うとの合意を取り付けた上で、国に公設秘書として採用したとの虚偽の書類を提出し、給与を詐取した疑いが持たれている。勤務実態のない秘書は、地元・茨城県取手市にある石井氏が理事長の社会福祉法人の関係者を含め、複数いた可能性がある。
公設秘書は国家公務員特別職で、国費から月額30万〜60万円程度の給与が支払われる。特捜部は現時点で詐取した総額が約800万円とみているもようだ。
石井氏を巡っては、特捜部が8月、東京・永田町の議員会館事務所や取手市の事務所などを詐欺容疑で家宅捜索。その後、所属していた日本維新の会から除名された。議員の辞職願を9月1日に参院議長宛てに提出し、許可された。