愛知県一宮市で5月、31歳の妊婦が車にはねられて死亡し、事故後の緊急手術で生まれた女児は脳に重い障害が残った。運転していた女(50)は、妊婦への自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪のみに問われている。夫の研谷友太さんは「胎児も被害者だ」と主張。女児への過失傷害罪も問うよう求める署名を名古屋地検一宮支部に提出し、記者会見で胎児も被害者と訴えた。

 死亡したのは沙也香さん。起訴状によると、5月21日に路側帯を歩行中、一宮市の無職児野尚子被告の車が時速約30キロで衝突し同23日に死亡した。遺族の弁護士によると、帝王切開で生まれた長女日七未ちゃんは事故の影響で低酸素性虚血性脳症になり、人工呼吸器が外せない。

 沙也香さんへの過失致死罪に問われた児野被告の初公判は2日、名古屋地裁一宮支部で開かれた。検察官は、日七未ちゃんが受けたダメージの状況などについて補充捜査をすると明らかにした。被告は起訴内容を認めた上で「(沙也香さんと日七未ちゃんの)お二人に対するどのような処罰も受けます」と述べ、遺族に頭を下げた。