石井章元参院議員=2022年6月

 石井章元参院議員(68)の公設秘書給与詐欺事件で、元公設秘書が「秘書としての勤務実態がなかった」と東京地検特捜部の任意の聴取に供述していることが2日、関係者への取材で分かった。国から支払われた給与の大半が石井氏側に渡り、事務所経費などに充てられたとみられることも判明した。

 関係者によると、石井氏は自身が理事長を務める茨城県取手市の社会福祉法人関係者の親族を公設秘書として国に届け出ていた。この元秘書は特捜部の聴取に、石井氏から名義貸しを求められ、応じたと説明。勤務実態がなかったことを認めたという。

 公設秘書は国家公務員特別職で、国から月額30万〜60万円程度の給与が支払われる。元秘書の給与口座は石井氏の事務所で管理していたとされる。特捜部は現時点で詐取した総額が約800万円とみているもようだ。勤務実態のない公設秘書は、この元秘書を含め複数いた可能性があり、特捜部は聴取するなどして確認している。

 石井氏はその後、所属していた日本維新の会から除名処分を受けた。今月1日に議員辞職が許可された。