岐阜県が甲子園ベスト4の壁を突き破るかにはいかにすべきかをテーマに前回に引き続いて、鍛治舎巧さんに聞いた。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

 ―低反発のバットは導入1年で選手もかなり、慣れてきたと思いますが、今後の高校野球はどうなっていくんでしょうか

岐阜県がベスト4の壁を越えるために「非凡な選手を育て、非凡な野球を」と語る鍛治舎巧さん=大阪府枚方市、鍛治舎さんの自宅

 鍛治舎 県岐阜商が今夏、快進撃で準決勝まで行ったが、1試合も完封はなかった。相手にも点は取られている。まして力が互角なら8―7という試合にもなる。やはり、打ち勝つ、1点でも多く、早く得点することが大事。

 1点でも少なく守るのも大事だが、選手にとっては、1点でも多く取るという考えの方が前向きになれる。

 直近2年を見れば、どのチームも守備率は9割8分前後あるが、打率は3割前後。〝3割の野球〟をどこまで上げていくかの方がロマンがある。強気の攻める野球を選手に植え付けるのが大事だと思う。7回制移行を踏まえれば〝早々に打ち勝つ〟ことが基軸になる。

 攻撃側で言えば、センター方向に強いゴロではなく、ライナーで外野の頭を越えていくバッティングを目指してほしい。食事療法で除脂肪体重を増やし、個々人に合った科学的な筋トレを採り入れ、飛躍的に筋力強化を図り、育ち盛りの身体と心を鍛え上げてほしい。

 あるメーカーのベースボールスポーツテストを見ると、中学野球3年生のベンチプレスや背筋力、レッグカールやレッグエクステンション等々8種目の合計総筋力は、直近で、岐阜県中学選抜の硬式野球Aチームが最上位、軟式野球チームも上位に位置している。

 彼らが県内の野球に憧れ、興味を持ち、入学してくることになれば、全国で勝つ下地は十分にできている。

 選手による自主、自立、自治が私の育成方針だったが、これからは、まさしく選手が自発的に個々で心身ともに強くなり、それを指導者がまとめ、束ねるという野球になっていく。これからは指導者のカリスマはない時代に突入していくだろう。

 ―そんな中、岐阜県が今後、〝ベスト4の壁〟を突き破るにはどうすべきでしょう。

 鍛治舎 あと二つ勝つにはどうしたらいいのかは、秀岳館時代に相当悩み続けた。難しいテーマだ。

 例えば、ここ一番でのプレー。準々決勝の県岐阜商と横浜戦で、...