国の特別史跡に指定された広島市の原爆ドーム

 人類史上初めて投下された原爆の惨禍を伝える広島市の原爆ドームが18日、国の特別史跡に指定された。「被爆遺構の象徴的存在」として国の文化審議会が6月、指定を文部科学相に答申しており、18日付の官報で告示された。被爆80年の節目での指定に、関係者から喜びの声が上がった。

 市は今後、特別史跡の標柱をドーム近くに設置する予定。担当者は「将来の保存に向けて最大限努力する」と強調した。

 1915年に建てられ、頂上のドーム部分に鉄骨を用いたれんがと鉄筋コンクリート造りの3階建て、正面中央階段室が5階建ての構造。33年に「広島県産業奨励館」と改称された。米軍による原爆投下の爆心地から北西約160メートルに位置し、爆風と熱線で内部は全焼。倒壊は免れたが、建物内にいた約30人は全員即死した。

 市民による保存運動を契機に、市議会は66年に永久保存を決議。95年に国史跡に指定、翌年に世界文化遺産に登録された。市はこれまで5度にわたる保存工事を実施した。