兵庫県宝塚市の住宅で2020年、家族ら4人をクロスボウ(洋弓銃)で撃ち、母と弟、祖母の3人を殺害し、伯母を負傷させたとして殺人などの罪に問われた野津英滉被告(28)は30日、神戸地裁での裁判員裁判の被告人質問で「このまま早く死刑になりたい」と述べた。事件への後悔がないかどうか問われると「ありません」と答えた。

 弁護側は死亡した3人について「一緒に生活するのは苦痛で、家族関係を清算したいと思った」とする被告の陳述書を読み上げた。この中で被告は母の人間性が特にストレスだったとし「母が弟ばかりかわいがり、私には関心がない」と説明。弟からは嫌がらせをされ、祖母は母と仲が良く一体的な存在だったとした。

 起訴状などによると20年6月4日、自宅で同居の祖母好美さん=当時(75)=と弟英志さん=同(22)、別居の家から訪れていた母マユミさん=同(47)=の頭に矢を発射して殺害し、伯母(55)に大けがをさせたとしている。

 弁護側は心神耗弱状態だったと主張している。