クマの出没や人的被害が各地で相次ぐ中、撃退用スプレーの需要が高まっている。海外からの輸入品が多いが、徳島県の企業は珍しい国産品を3年がかりで開発し、注文が殺到。一方、インターネット通販サイトでは効果がなかったり、うまく操作できなかったりする不良品も出回っており、識者は「国が品質を保証する仕組みを設けるべきだ」と指摘する。
徳島県阿南市で魚や牛などの医薬品、飼料を製造するメーカー「バイオ科学」は今年5月、クマ用スプレー「熊一目散」の販売に乗り出した。唐辛子に含まれるカプサイシンが原料で、2022年から10回以上試作して完成させた。注文が途切れず、品薄の状態が続いている。
米環境保護局(EPA)はクマ用スプレーを「忌避性農薬」として管理し、カプサイシンの濃度や噴射距離などに基準を設けている。研究者らでつくる「日本クマネットワーク」は、EPA認証を受けた商品の使用が望ましいと強調。酪農学園大の佐藤喜和教授は「メーカーごとにカプサイシンの濃度や持続噴射時間の表示も異なり、消費者が選びにくい状況だ」と指摘する。






