10月半ば、美濃加茂市最北部の三和小学校で、運動会が開かれました。わずか30人の児童の応援に集まったのは、保護者や地域住民、手伝いの中学生ら総勢150人。綱引きや玉入れは全員参加で盛り上がりました。人口減少で継続が難しくなった地区運動会を組み込んだ、新たなかたちの運動会です。「小学校があるからこそ、地域住民が集まれる」。参加者からはこんな声が聞かれました。児童数減少による小学校の統廃合が相次ぐ中、小さな三和小学校に子どもの声が響き続けるワケとは-。(岐阜新聞デジタル独自記事です)
◆2017年から小規模特認校
児童30人のうち、校区の三和地域から通うのは半数に満たない14人。残りの16人は「小規模特認校」という制度を利用して、美濃加茂市内の各地から越境通学しています。
山に囲まれた地域の少子化は著しく、児童の数は減少の一途。このままでは近隣校との統合もやむなしという中、美濃加茂市は2017年、県内で初めて三和小と伊深小を小規模特認校に認定しました。校区外からの受け入れにより児童の数を増やし、学校を存続させる道を選んだのです。
小規模特認校は、少人数で特色ある教育を行う学校が、保護者による送迎など一定の条件を満たした児童を広域から受け入れる制度です。1997年に札幌市などで始まりました。
児童数の減少に対し、適正な教育環境を保つための措置として、一般に統廃合が行われてきました。岐阜県でもこの20年、市町村合併の影響などで統廃合が進み、2005年度には391校あった公立小学校が25年度には342校と、49校減少しました。
ただ、統廃合は児童に長距離通学を強いるほか、わがまちの小学校がなくなることでさらなる地域衰退を招きかねません。そのため近年は、義務教育学校化や小規模特認校制度の導入など、統廃合以外の方法で学校規模の維持を試みる自治体が増えています。小規模特認校は25年度現在、県内6市町の9小学校に導入されています。
◆30人の児童に20人の教職員
三和小では30人の児童に対し、校長、教頭、教員4人をはじめ20人の教職員が関わります。...









