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 一般社団法人 海と日本プロジェクトinえひめは、海を安全に楽しむための取り組み「海のそなえプロジェクトinえひめ~水難事故を紐解き、防ぐ~」を実施しました。全国で展開され今年で2年目となる海のそなえプロジェクト。この海のそなえプロジェクトとは、毎年発生し続けている海や川での水の事故をどうすれば減らすことができるのか。これまでの水難事故対策の常識を疑い「そなえ」の新たな常識をつくることを目指したプロジェクトです。愛媛で展開する海のそなえプロジェクトinえひめは今年1年目。水辺で遊ぶ機会の増える夏場を中心に水難事故を防ぐための様々な展開を行いました。また、これらの活動報告と意見交換を11月20日に行いました。
 この取り組みは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。



海のそなえプロジェクトinえひめ 展開内容

・海のそなえ啓発キャンペーンの実施
 「おぼれ100」を使用したテレビCMの制作と放送、夏の風物詩である土曜夜市でブース出展を行う。
・水難事故発生地点での調査取材
 西条市加茂川の危険箇所を4つに絞り、どこに危険が潜んでいるのか調査取材を行う。
・地域と連携した安全講習イベント
 「溺れる・流されるメカニズム」の理解とフローティングアイテムを着用して有事の際の対処方法習得
 を目的とした安全講習イベントを実施する。

海のそなえ啓発キャンペーンについて       

 活動は6/28(土)の土曜夜市からスタートしました。松山中央商店街「土曜夜市」は松山の夏の風物詩として親しまれているイベントで毎年多くの方で賑わいます。今回の啓発キャンペーンでは、実際に体験したおぼれの場面を100パターン集めた「おぼれ100」パネルの掲示・「おぼれ100」ガチャガチャの設置を行いました。「おぼれ100」パネルには経験したことのあるおぼれ場面にシールを貼ってもらいどのような状況で溺れた方が多いのか調査しました。その結果、1位「水を飲んでおぼれた」27件、2位「足がつかず、おぼれた」24件、3位「足がつって、おぼれた」21件となりました。水を飲んでしまうことで焦っておぼれた経験のある方が予想以上に多いことが分かりました。軽微なおぼれだとしても重大な水難事故につながる恐れがあります。なぜおぼれてしまったのか。おぼれないためにはどうすればよかったのかを参加者の方にはイベントに参加してもらうことで一緒に考えていただきました。



水難事故発生地点での調査取材について       

 7月30日(水)、西条市加茂川で水難事故の調査取材を行いました。加茂川はとても綺麗な川でレジャースポットしても人気があります。その一方、多くの水難事故が発生しています。見た目は穏やかな川でどこに危険が潜んでいるのか、特に危険な4箇所を設定し調査取材を行いました。加茂川の危険箇所を案内いただくのはLove&Safetyさいじょうの久保一平さん。西条市内でアウトドアショップを営み、夏休み前には小学校を回り、ライフジャケット着用の重要性を伝えている加茂川に詳しいスペシャリストです。まず1箇所目は「トリム公園付近」。ここでの泳ぎキケンと書かれた看板が目立ちますが、多くの人が訪れます。陸上から見ると浅く見える場所でも実際にスタッフが川に入ってみると急に深くなり足がつかなくなる危険箇所がありました。また対岸付近には取水設備があり、吸い込まれる恐れがあります。取水設備の上から飛び込む人も多く、久保さんは「深いところは上と下で流れの速さが異なり、底の方が流れが早かったり巻いていたりと見た目では分からない怖さがある」と話していました。
 2箇所目のキケンポイントはトリム公園付近から数百メートル下流に行ったところ。ここには流れの速い堰がありました。浮き輪を流すと瞬く間に吸い込んでいきます。人が入ってしまうと重大事故に繋がります。
 3箇所目は加茂川上流で本流と支流が合わさる場所。黒瀬川ダムからの本流と山からの支流が合流する場所で流れが複雑かつ深さもあります。この日、サップを楽しむ地元の方々も見受けられましたが、落水した時に備え、ライフジャケットを着用して楽しんでいました。
最後4箇所目はさらに上流に行った西条市中奥付近の河原です。この場所は13年前幼稚園のお泊り保育で園児が流され、痛ましい事故が起きた場所でもあります。久保さんは「水深があり気持ちよく泳げる場所だが、川のカーブの外側が特に深く流れが速い。簡単に泳げる場所だが深いので気をつけなければいけない」と話します。この地点で遊んでいる子ども達もライフジャケットを着用していました。話を聞くと、「ライフジャケットを着けた方が溺れる心配もないし、深いところに行っても浮くから大丈夫!」と楽しそうに教えてくれました。地元の方々は危険性を理解しライフジャケットを着用した上で水遊びを楽しんでいる方が多く見られました。泳ぐ時には危険個所を事前に把握し、ライフジャケットを着用するということがとても重要となることを改めて感じました。



地域と連携した安全講習イベントについて    

 7/21(月・祝)には松山市鹿島で、8/16(土)には今治市朝倉で海のそなえについて学ぶ安全講習イベントを開催しました。溺れる・流されるメカニズムを理解するための座学とフローティングアイテムを着用した体験を行いました。松山市鹿島のイベント講師は公益社団法人日本水難救済会常務理事の江口圭三さん。座学では「水辺の危険と対処法」というテーマでお話をいただきました。水難事故防止の基本として、波にさらわれる・流されるなどの自然に取り込まれるパターンと足がつる・パニックになるなどの身体に異変が起こるパターンがあり、自然に取り込まれるパターンは危険を予見し、避ける・備える、身体に異変が起こるパターンはハプニングの対応方法を身につけておくことが大切ですと話されていました。また海で意外と危険な場所が波けしブロック。落ちてしまうと発見も救助も困難で、大けがすることもあります。小学生・中学生が遊び場に見える場所にも危険が潜んでいることを知ってもらうことができました。川は流れもあり楽しい場所ですが急な増水や深みなどこちらも危険が潜んでいます。川遊びではフローティングアイテムを着用し引っ掛かりが生まれそうな場所では遊ばないようにしなければいけません。今回の座学では海や川に潜む危険を参加者の方に知ってもらうことができました。
 水辺の危険とフローティングアイテムの重要性を知ってもらった上で、会場内の鹿島海水浴場に移動
し、実際にフローティングアイテムを着用して泳いでみます。参加者された方の中には初めてフローテ
ィングライフジャケットを着用して泳ぐ子もおり、最初は不安げな表情を浮かべていましたが、イカ泳
ぎを身に付けることで長く浮けるようになりました。イベント中は参加者の安全確保のため松山海上保
安部にも協力いただき、小型艇による警戒や見守りを行っていただきました。
 今治市朝倉のイベント講師は水難事故発生地点での調査取材で加茂川を案内いただいいたLove&Safetyさいじょうの久保一平さん。座学では「水辺のリスクとライフジャケットの重要性」についてお話をいただきました。愛媛の川の危険個所をまとめた川のキケンマップから、川幅がせまいと流れが速くて複雑になる、コンクリート堰堤は水がぐるぐると回り抜け出すことができない、泡が立っているところは浮かないなど水辺に潜むリスクを教えていただきました。川や無味の見た目は穏やかでも底の形状は複雑で流れが速い場所・急に深くなる場所は注意が必要です。座学でライフジャケットの重要性についても学んだ後、プールに移動し実際にライフジャケットを着用した体験を行いました。ライフジャケットを着用すると肩から上が水面に出て安心感があります。体験した方は「ライフジャケットを着用すると浮きやすくて泳ぎやすい」と楽しそうな表情を浮かべていました。自然の中で遊ぶ時はライフジャケットを着用する。今回の体験で参加者の方にもライフジャケットの重要性を感じてもらうことができました。



「海のそなえプロジェクトinえひめ」まとめ   

 2024年度に発足した「海のそなえプロジェクト」と連携し、愛媛県内の水難事故件数を減少に転じさせるため、水難事故の危険性を伝えるテレビCMの放送、土曜夜市でのブース出展といった啓発キャンペーン、水難事故発生地点での検証取材、地域と連携した安全講習イベントの実施を展開しました。また9月には西条市の加茂川で行った水難事故発生地点での検証取材の様子を中心にテレビ番組で3回に渡り取り組みの様子を放送しました。そして11月20日、今回の企画で土曜夜市でのブース展開の協力や安全講習イベントでのサポートをいただいた松山海上保安部への活動報告、意見交換を行い今年度の展開が終了となりました。この展開で水辺に潜むリスクやライフジャケットの重要性について知ってもらうことができました。一方、今年の夏も多くの水難事故が発生しています。一人一人が水辺のリスクや対処法を知ること、遊ぶ時にもライフジャケットを着用することの重要性を広げることで水難事故防止に繋げます。


<団体概要>
団体名称:一般社団法人 海と日本プロジェクトinえひめ
URL  :https://ehime.uminohi.jp/
活動内容:愛媛県内の「海」を中心とした、食・文化・スポーツ・お祭り等の活動のムーブメント
     作りのための情報収集、イベント活動の広報を実施







日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/
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