2025年夏の甲子園ベスト4の礎を築いた県岐阜商前監督の鍛治舎巧さん。「No.1への道」と題し、アマチュア球界の第1人者である名将がチームづくり、選手育成、戦略・戦術のすべてをあますところなく公開する。

第2節 成長期(2年)

3 体得させることと方法論

(1)やる気と動機づけ

秋季東海大会で選手に指示する鍛治舎巧監督=2019年11月、長良川球場

①内発的動機づけ
 生徒のメンタル面で、いちばん大切にしたいのが「やる気」である。「野球が好き、うまくなりたい」といったシンプルで単純な気持ちを大切にしよう。

 ゲーム感覚に遊びの要素を加えたサッカーやバスケットボールを取り入れるのも良い。

 枚方ボーイズ中学部専用グラウンドには、ミニバスケットボールコート2面(3人対3人)とミニサッカーコート1面(7人対7人)がある。少年時代にさまざまなスポーツを通じて多元的な運動能力を高めることは、本格的に野球を始める高校以降の大きな助けとなる。

 休養日やクールダウン代わりにスイミングを行うのも選手たちに解放感を持たせることができてよいことだと思う。

 秀岳館(熊本)監督時代は、休養日に全員で市内施設を時間借りしてスイミング、県岐阜商監督時代は、夏の間、クールダウン代わりに校内50メートルプールの2レーンを野球部専用に空けていただき使わせてもらった。

②外発的動機づけ
 ランニングや体力づくりなど、選手が興味をもちにくい練習は、「何のためにやるか」という必要性を強調することも大切だ。

 気合いや根性だけでは長続きしない。...