【ロンドン共同】英南部で2018年3月、ロシアの元スパイが神経剤ノビチョクで襲撃された暗殺未遂事件で、英政府の独立調査委員会は4日、ロシアのプーチン大統領が襲撃を承認し、軍参謀本部情報総局(GRU)の職員3人が実行したとする報告書を公表した。

 元スパイはセルゲイ・スクリパリ氏。英側に機密情報を提供したとして06年にロシアで有罪判決を受け、服役中にスパイ交換により釈放、英国に出国した。調査委は、襲撃が「ロシアの力を見せつけるため」に実施され「プーチン氏によって承認されたに違いない」とした。

 事件後、近隣でノビチョクに触れた女性が18年7月に死亡。報告書はスクリパリ氏襲撃後に実行犯がノビチョクが入った香水の瓶を捨てたと指摘。瓶を拾った女性のパートナーがプレゼントし、女性がノビチョクと知らずに使ったと判断した。プーチン氏には女性の死に対する「道義的責任」があると批判した。

 ロシア側は事件への関与を否定している。

 事件は18年3月4日に発生。ノビチョクが塗られた自宅玄関のドアに触れたスクリパリ氏と娘が一時重体となった。