祭壇に献花する佐藤ハルエさんの孫ら=加茂郡白川町黒川、佐久良太神社

 旧加茂郡黒川村(現岐阜県白川町)から旧満州(中国東北部)に農業移民として渡った満蒙開拓団の「黒川開拓団」の犠牲者を追悼する慰霊祭が25日、同町黒川の佐久良太神社であり、遺族らが争いのない世界への思いを深めた。

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 開拓団は1941~45年に約600人が吉林省の陶頼昭(とうらいしょう)に入植。敗戦後に現地住民の襲撃やソ連兵の暴行に見舞われたため、ソ連軍将校に治安維持を頼む見返りに、開拓団の未婚女性たちに性的な「接待」をさせた。46年に引き揚げるまでに飢えや病で200人以上が現地で命を落とし、「接待」を強いられた女性のうち4人も現地で亡くなった。

 昨年夏には「接待」の被害に遭った故佐藤ハルエさん(郡上市)ら女性たちの戦後を見つめたドキュメンタリー映画「黒川の女たち」が全国上映され、女性たちを祭る「乙女の碑」がある同神社にも、多くの人が訪れている。

 慰霊祭は元開拓団員や遺族でつくる黒川分村遺族会が2年に1度開き、約70人が出席。佐藤さんの孫やひ孫も祭壇に花を手向けた。藤井宏之会長は慰霊の言葉で「戦争の悲惨さ、平和の大切さを子や孫に伝えなければならない。黒川から世界へ向けて発信しよう」と述べた。

 7歳で渡満し、壮絶な引き揚げを経験した安江菊美さん(91)も参列した。ロシアによるウクライナ侵攻や米イスラエルのイラン攻撃など、争いの続く世界情勢に自身の経験を重ね、「戦争だけはやめてほしい。人を殺して土地を奪って何になるの。いつまでもそこで生活できるわけではない」と力を込めた。

(大賀由貴子)