
F4ドライバー百瀬翔のインタビュー2回目は、F4に初参戦した昨シーズンの戦いぶりと今シーズンに向けた意気込みを聞いた。(インタビュアー 岐阜新聞・山田雄大)
スマホ見せてグルメ・買い物お得に 岐阜新聞デジタルクーポン1年目の昨年は「1戦ごと成長できた」
―F4のマシンの特徴を教えてください。
コントロールがすごく難しいです。スクールカーに比べると、タイヤのグリップもかなりプア(弱い)で、ダウンフォース(空気の力で車を地面に押し付ける力)もあってないような感じ。でも、初めて乗ったときは楽しいなと思いました。ダンロップタイヤは縦、縦という感じで使っていかないといけなくて、斜め方向のグリップはすごくない。限界を探るのが難しいっていうイメージですね。基本に忠実な車の動かし方をしないと速く走れない感じです。エンジンはトムス製でターボが付いているわけではないので特に難しさは感じません。
昨シーズンが始まる前に3、4回プライベートテストがありましたが、雨が降ってドライではほぼ走れなかったです。

―レースウイークの流れを教えてください。
昨シーズンの場合だと、まず練習走行で予選に向けてセッティングや自分のドライビングをアジャストしていきます。時間が長いセッションでは、ロングランをして(タイヤの摩耗で)ペースがどれだけ下がっていくのかを見ていきます。土曜日の朝に予選があって、2レース制のときは昼前にレースがあります。そして日曜日に2レース目が行われる、という流れです。週末に使うタイヤは3~4セット。ドライとレインの2種類のみです。
―F4の1年目だった昨シーズンを振り返ってみていかがでしたか。
良かったこととしては、前半に表彰台に乗ることができたことです。自信につなげることができましたし、毎戦ごとに成長していくことができました。他のドライバーと比べて経験値が少ない中、ある程度いいポジションにいられたのかなと思います。でも、やっぱりルーキーの年に勝ちたかったなって。予選での1周のまとめ方の悪さがちょっと目立っていたので、改善点としてはそこが一番ですかね。そこさえ直せれば、終盤のオートポリスやもてぎで勝ちを狙えるぐらいのペースはあったのかなと思います。


―F4で勝つために大事なのはやはり予選ですか。
そうですね。ブースト機能があるわけじゃないので、予選で前の方のグリッドを獲得して優勝争いができる権利のある場所でレースをしないといけないと思います。やっぱり予選は大事だなって昨年すごく実感しましたね。スリップは効くんですけど、僕たちのマシンのコンセプト自体がコーナリングにすごい寄せていたっていうのもあって、ストレートのスピードが周りに比べて遅かったんですよ。
―一番印象に残っているレースは。
一番は第7戦の鈴鹿ですね。元々、バトルに自信がなかったんですけど、自分でしっかりとバトルをしてオーバーテイクをして表彰台に上がれたというのはすごく自信になったし、成長できたなと思えるレースでした。武藤(英紀)監督からはレース前に「行ける場所があるから怖がらずに思いっきり行っちゃえ」って活を入れられました。
―総合成績としてはルーキーの中ではトップの成績でした。ご自身ではどう評価していますか。
自分の中ではもうちょっといけたなと思うところもあるんですけど、ベストを出し切ったシーズンでした。その結果がたまたまルーキーの中でトップだったというだけで、別にうれしいということはなく、もっと上を目指したいと思いました。


2年目「トップを目指せるポテンシャルはある」
―いよいよ2年目のシーズンが始まります。オフはどのように過ごしましたか。
昨年の最終戦が終わってからは、(スーパーフォーミュラ・)ライツのテストの話をもらっていたので、そこに向けてトレーニングをしたり、F4の走り方を改善するためにエンジニアと試行錯誤しながらシミュレーターをやったりしていました。実際にライツに乗ったときには体力に課題があるように感じたので、トレーニングは今めっちゃやってます。
―トレーニングは具体的にどんなことをやっていますか。
腕回りとか体幹を一番鍛えています。走るのは以前からやっていて、毎日午前6時に起きて10キロぐらいランニングをするのがルーティンです。F4は朝早いので、午前7時とか8時の段階から自分のベストパフォーマンスを出せるようにしないといけないと思っています。監督にもそう言われたので、それだったら夜よりも朝に走った方がいいなと思って。
―オフの話でも出ましたが、昨年12月にスーパーフォーミュラ・ライツのテストに参加しました。ライツの車の印象はどうでしたか。
なんか今まで乗っていた車に比べてすごいダウンフォースがあって、ストレートはそうでもないんですけど、コーナリングのスピードがめっちゃくちゃ次元が高くて。ダウンフォースがかかった時のステアリングの重さが尋常じゃなく、横Gも半端じゃなかったんで、「これがレーシングカーか」っていうのを思い知らされましたね。F4とは全然違いました。

―今シーズンに向けて今の心境は。
マシンが(51号車から)50号車になってチームのメンバーも変わってるので、そこは心機一転という感じですね。僕自身も去年からさらにレベルアップした姿を見せられるっていう自信はあるので、開幕戦がすごく楽しみですし、トップを目指せるポテンシャルはあると思います。ワクワクしながら開幕戦を待ってるっていう感じですね。
―今シーズンの目標を教えてください。
目標はシリーズチャンピオンを取ることです。取らなきゃいけないという雰囲気もありますし、プレッシャーも少しは感じています。
―F4の見どころ、自分の走りのここに注目してほしいというところはありますか。
F4はやっぱりスタート直後が一番動きがあって見どころだと思います。開幕戦の富士だとストレートが長くて、他のサーキットと比べるとバトルも多いコースなので面白いと思います。
僕自身の走りで言うと、結構バトルでガツガツいけるようなタイプになってきたので、アグレッシブさを見てもらいたいです。とはいえ、今年はぶっちぎって勝つことしか頭になくて。「こいつ速すぎて面白くねえな」みたいに思われるような選手を目指して頑張っているので、バトルしているところはあまり見せたくないかなって(笑)。
F4はスーパーGTとの併催なので、現地に行くと両方楽しめます。ピットウオークとかドライバーのトークショーとかいろいろ見るところがあって、遊園地とかお祭りに来た気分で楽しんでもらえたらと思います。

百瀬 翔(ももせ・しょう) 各務原市出身。2007年5月20日生まれ。3歳からカートを始め、カデットオープン(小学2年以上)、ジュニアマックス(同6年以上)と各世代別で王者を獲得し、15歳で全日本選手権FS―125クラスでシリーズチャンピオンに輝いた。ホンダレーシングスクール鈴鹿を卒業し、2025年から「FIA―F4選手権」に参戦。1年目は3位を2度記録し、総合6位だった。26年も引き続き「HFDP with B―MAX Racing Team」から同選手権に挑む。身長173㌢、体重63キロ。









