岡野弘彦さん

 戦後短歌界を長年リードした歌人で、文化勲章受章者の岡野弘彦(おかの・ひろひこ)さんが4月24日、心不全のため東京都世田谷区で死去した。101歳。津市出身。家族葬を行った。

 1924年、神主の家に生まれた。国学院大予科に入学後、愛知県の豊川海軍工廠に動員され、45年に徴兵。軍用列車で移動中に東京で空襲に遭い、遺体の処理などに携わった。

 歌人・釈迢空としても知られた民俗学者の折口信夫に師事し、敗戦後、折口が亡くなるまで共に暮らした。師の影響で短歌の実作と民俗学や日本文学の研究を続けた。

 60〜70年代に歌集「冬の家族」「滄浪歌」「海のまほろば」などで現代歌人協会賞や迢空賞を受賞。民俗学や神話を取り入れた視点で注目を集めた。自身の体験を踏まえて、戦死した同世代の若者を詠むことから出発し、2000年代にはイラク戦争を題材に作品を発表。平和を希求した。

 宮内庁御用掛を長く務め、昭和天皇の作歌を指南。

 98年日本芸術院会員。13年文化功労者、21年文化勲章。国学院大名誉教授。国学院大栃木短大学長も務めた。