住宅は価格高騰で手が届かなくなり、通勤電車は満員―。人口を1千万人までに制限することの是非を問う国民投票の背景には、移民流入により増え続ける人口がもたらすスイス社会のひずみがある。
最大都市チューリヒ近郊のキルヒベルク。美しい湖に面し、チューリヒにも電車で15分ほどと、生活環境と利便性を兼ね備えた場所だ。6月初旬に訪れると、各地で住宅建設の工事が行われていた。
「素晴らしい場所だけど、家賃が高くなりすぎて引っ越したよ」。キルヒベルクに以前住んでいたという会社員ブラムさん(38)は生活の苦しさを打ち明ける。スイスの中でも特にチューリヒ周辺はどこも生活インフラが逼迫しており、生活費の上昇も激しいという。
今回の国民投票の提案を主導してきた右派国民党は、流入のペースが速すぎて「制御不能」になっていると訴えた。一方、提案に反対する経済界などは「移民を制限すれば経済が深刻な打撃を受ける」と懸念。慢性的な人手不足に悩む医療や介護、建設などの業界では移民が貴重な労働力になっているとした。(キルヒベルク共同)








